昨日は新作能「紅天女」、今日は古典の中でも特に名作とされる「隅田川」の公演(岡田麗史の会)がありました。
「隅田川」とは
子を失った母親が、わが子を捜し求め、最後に出会ったのは子が埋められた塚だった、という親子の悲劇を扱った作品で、母親の「物狂いの能」とされるものです。
「物狂いの能」には、親子のほか、恋人、主君の別れをあつかったものがあり、
相手のことを一途に思う、そのトランス状態を能では「物狂い」としています。
この「物狂い」の能のほとんどは、最後には相手と再会するというハッピーエンドで終わっていますが、
しかしこの「隅田川」は悲劇が悲劇のまま終結を迎えます。現実の事実からの救いがありません。
室町の時代を想像するに、能という劇が、民衆の苦しみを救い、わずかながらも夢を与えていたと思うのです。しかしこの「隅田川」は唯一の例外です。
この作者は世阿弥の息子元雅の作品。
偉大な父の前に、元雅はあまりにも薄幸のな生涯をおくっています。
それゆえにあえてこのような作品を創ったのでは、とも思っているのですが・・・・・・・・
この作品は現行曲の中でも特にに何十回何百回とくり返えし、くり返えし上演されている人気曲です。
救いのない悲劇の前に、いつも演者は真摯な姿勢になってゆきます。
いい作品です。
私はまだこの「隅田川」のシテは演じていません。ただ今熟成中!
いつの日か必ず醸造したものを演じたいと思っています・・・・