年に一度、能楽座の会員が結集して行われる公演・「能楽座」
昨日17日(日)、国立能楽堂にて行われました。
シテ方、ワキ方、狂言方、囃子方、それぞれの流儀の代表の方が集まって組織されているのが能楽座です。(すべての流儀ではありません)
亡くなった荻原達子さんがプロデュースされ、質の高い舞台を都会だけではなく、地方にも普及しようというのが能楽座の目的だと聞いています。
夏に行われる「能楽座」はその会員が総出演する、流派、流儀を超えたとても豪華な番組立てになっています。
今年は-観世栄夫・荻原達子ー追善会でした。
観世栄夫先生は優れた能役者としての実績がありますが、荻原達子さんは戦後能楽会にとって大きな役割をはたし、評論家でもなければ学者でもない、制作者としての立場で能を支え、普及活動に大きな貢献をされてこられた方です。
ですから荻原さんがいなくなったことは、一人の優れた役者を失うより、別な意味で能楽会に大きな損失を与えたことになります。
その穴埋めはだれがするのか、これからの非常に大きな問題です。
ところで能楽座のメンバーは流儀の代表者ということもあって、高齢の方が多く、ここ数年この夏の会は追善会ばかり行われています。(^_^;)
2008年 観世栄夫・荻原達子追善
2007年 粟谷菊生追善
2006年 観世銕之亟追善
2005年 一噌幸政追善
記憶に残っているだけでもこれだけ浮かんできます。
来年はおめでたい会であってほしいです!
今年の「能楽座」 番組
舞囃子 「百万」 大槻文蔵
能 「清経」恋之音取 梅若六郎
小舞 「鐘の音」 茂山忠三郎
小舞 「通円」 野村万作
舞囃子 「誓願寺」 観世銕之丞
狂言 「栗隈神明」 山本則俊ほか
仕舞 「江口」 高橋章
仕舞 「実盛」キリ 友枝昭世
仕舞 「羅生門」 宝生閑
袴半能 「融」クツロギ 近藤乾之助
囃子方(出演順)
笛ー松田弘之、藤田六郎兵衛、一噌幸弘、一噌隆之
小鼓ー観世豊純、観世新九郎、曽和博朗、曽和尚靖、大倉源次郎
大鼓ー亀井広忠、山本孝、安福光雄、山本哲也、安福建雄
太鼓ー観世元伯、三島元太郎、三島卓、金春惣右衛門
私は能「清経」(地頭ー観世銕之丞)と、舞囃子「誓願寺」(地頭ー大槻文蔵)の地謡に出演。
この日の演目では、狂言の「栗隈神明」(くりくましんめい)が上演稀な演目で、山本東次郎師が病欠で、シテは今まで東次郎師しか演じていなそうで、代役をした則俊さんや泰太郎さんは大変だたとか、あとの宴会で則俊さんがおっしゃっていました。
宝生閑先生の仕舞「羅生門」、これも珍しいですね。
閑先生は舞事は得意とされている方で、「紅葉狩」の特殊演出でクセの部分をワキ方が舞うことがあるのですが、閑先生は非常にさわやかに、すがすがしく舞われています。
能「羅生門」は源頼光(わき)が羅生門に出没する鬼を退治する話ですが、この仕舞で舞われたところは、源頼光ら武士たちが集まってのどかな酒宴を行っている場面です。
国立の食堂で打ち上げがあり、そのあと数人で二次会に近くの居酒屋に行ったのですが、打ち上げに当然出席しなければいけない能楽座のメンガーの方(人間国宝です)が美女(かつて!?)に囲まれて楽しそうに御酒を召し上がっておられました。(笑)
しばらくして美女さんたちはお帰りになり、われわれが大先生を囲んでの宴会となりました。(笑)
少々、飲みすぎてしまいました…汗