先週に瓜生山薪能が行われた京都造形芸術大学・春秋座で、23日、観世栄夫追善能としてポール・クローデルの詩をもとに意創られた創作能「薔薇の名」の公演が行われました。
3年前に初演、2年前に再演、今回が3度目です。
新作能は忘れた頃にやってくる、とわれわれのあいだでは言っているのですが、過去に何度か謡っていてもすっかり忘れてしまっています。
年のせいでしょうかね、それとも覚えが悪いのでしょうか、とにかく覚えなおすのが大変でした。(苦笑)

われらがウルトラ尉(栄夫先生)(久しぶりにこの愛称を使います(笑))はこの大学の教授だったのです。週に一度まめに京都へ通われていました。
創作能「薔薇の名」は、ポール・クローデル研究家の第一人者、渡辺守章氏作・演出によるものですが、節付・作舞は観世栄夫師が担当されました。(フランス文学の大御所、渡辺守章氏は今はこの大学で弁を振るっておられます。)
そういった経緯から、このたびの観世栄夫追善能として創作能「薔薇の名」が上演・企画されたのだと思います。
ロビーには写真とお花が供えてありました。
この「薔薇の名」はその内容を説明するのに非常に困難な作品なのですが、以前このブログで紹介したときに書いた文章が、それなりにまとえ得た内容だと思いますのでもう一度載せておきます。
『男女の禁じられた恋をテーマにしたこの曲、あるときは
中国での人妻との恋物語であり、あるときはフランス
中世のトリスタンとイゾルデの魅惑的で危険な恋の物語
であり、またあるときは日本の古代天岩戸にこもった、
アマテラスの時代へと自由奔放に飛びめぐり、甘美で官
能的な、不思議な世界が創られています。このあたりは
この作者、渡辺守章氏の腕の見せ所でもあると思います
が、しかしひとつ間違えば、その複雑さゆえに迷宮の世
界へ踏み迷う危険性も伴っています・・・・』 (2006、1、16)

この春秋座は歌舞伎仕様の造りになっています。ちゃんと花道があって、その両側に客席が作ってあります。
今回はこの花道を橋掛かりとして使用しました。
能舞台の空間ではなく、劇場用に新たに演出を試みられたようです。
照明も細かに変化を付けていたようですし、鏡松に代わる背景もスクリーンを立てていろいろ工夫されていました。
その様子は舞台からはわかりませんが、お客様の反応はとてもよかったということです。
私の感想を言わせていただくと、
ある意味では象徴的で困難な内容の物語を、銕之丞師が見事に演じ、みんなを引っ張っていた!
そんな印象です。
出演者
立役 観世銕之丞 梅若普矢 茂山逸平
囃子 一層幸弘 亀井広忠 大倉源次郎 三島卓
後見 清水寛二 谷本健吾
地謡 河村和重 西村高夫 柴田稔 越賀隆之 河村博重 長山桂三 河村和貴 河村和晃