銕仙会青山能
6月25日(水) 6時30分始
於 銕仙会能楽研修所
仕舞 「柏崎」クセ 鵜沢 久
狂言 「膏薬煉(こうやくねり)」
シテー深田博治 アドー高野和憲
能 「鵺(ぬえ)」 シテー柴田 稔
ワキー村瀬 堤 アイー竹山悠樹
笛ー内潟慶三 小鼓ー鳥山直也 大鼓ー亀井 実 太鼓ー桜井 均
地頭 馬野正基
6月の青山能で「鵺」の能を演じます。
能「鵺」は、源頼政(よりまさ)が帝を襲った怪物(鵺)を退治したという平家物語をそのまま引用した物語です。
前場には鵺の亡霊、後には鵺の本体が現れるのですが、頼政に射殺された鵺が、世の中に負けた人生の敗者として描かれています。
何を考えているのかわからないような人、得体の知れない変わり者、そんな人をさして「鵺のようなやつ」とか、「鵺的な」という言い方をしますが、今ではほとんど使われていませんね、これはこの平家物語の鵺の話から起こっているのです。
鵺を退治した源頼政こそが、まさに鵺のような人間だったのです。
源氏でありながら平清盛に従い、最後は以仁王を担ぎ出して平家の反乱を企てるものの失敗に終わり、平等院で自害して果てます。
じつは鵺こそが、頼政の分身だったのです。
生存競争に負けた敗者としての頼政が鵺とともにいるのです。
しかし能「鵺」はそれだけでは終わっていません。
瀬戸内寂聴さんが「秘花」という世阿弥の生涯を書き下ろした小説のなかで、
『世阿弥のおびただしい作能のなかで、「鵺」ほど哀しい作はない』といっています。
『もはや世間の栄光から見放され、男時からも愛想を尽かされた現実の世阿弥、絶望と失意の私こそが、孤独な化鳥、鵺そのものではなかったか。』(本文より)
青山能の「鵺」に向けて、鵺という怪物と頼政、そして世阿弥、この三者を結びつけながら能「鵺」を解剖してみたいと思います。
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