昨日横浜能楽堂で、 第24回「横浜かもん山能」 の公演がありました。

番組
・能役者による実技と解説 柴田 稔
・狂言 「鳴子遣子(なるこやるこ)」 茂山七五三ほか
・能「融」 窕(くつろぎ) 観世銕之丞ほか
狂言は茂山千作先生の出演予定でしたが、お怪我されたとかで七五三さんが代勤されました。
かもん山能では千作先生が今までほとんど出演されていて、この日も楽しみにしてこられた方が多かったと思います。残念でした。はやくご回復されることを望みます。
「かもん山能」はもとは横浜能楽堂に隣接するかもん山公園で薪能として行われていました。
このかもん山公園には、幕末に活躍した井伊直弼の銅像が建てられており、その下に舞台が設営されていました。
井伊直弼は江戸幕府の大老になる前は、彦根藩の藩主で、彦根藩お抱えの狂言方が茂山家だったのです。
その関係から横浜での能にもかかわらず、京都から茂山家の狂言方が毎年招かれています。
横浜能楽堂が建てられてから、おそらく天候に左右されないことを考えて、薪能ではなく、能楽堂での公演に変えられたのでしょう。
今年で24回目ということですが、私も最初から伺っていますが、パンフレットを見ると初回は先代・銕之亟先生の「半蔀」でした。
これには苦い経験が・・・
このときは入門して間もない書生時代でした。
舞台で使う中啓(ちゅうけい)ー扇ですーを忘れてしまいました。
開演間際に気が付いたので、どうすることも出来ません(汗)
この時分には観世流と喜多流の二番立てで行われていましたので、
喜多流の方から中啓を拝借してなんとか難を逃れました。
ひどく怒られましたが!!!!(^_^;)
しかしこの日の喜多流の能は「土蜘蛛」で、中啓は頼高の役のものを拝借したのだと思います。
男性用の扇です・・・(汗)。
「半蔀」は源氏物語の『夕顔』がシテです。
鬘扇というものを使うことになっているのですが、先生にはとんだ恥をかかせてしまいました。
(天に向かって、合掌!)
こんな失敗話はいっぱいありますが・・・<(_ _)>
でも、24年前ならもう時効でしょう!(^。^)
「東京俳優市場」
かもん山能の後、表参道に戻って
「東京俳優市場 二〇〇七 冬の陣」という演劇を見に行きました。南青山の「MANDARA」というライブハウスでの公演でした。
芸能プロダクション十数社から若手の俳優達が集まって、その業界のプロデューサーたちの前で芸を披露する、いわば『スター誕生』の劇場版ともいえる催しです。
私はタイムリー・オフィスというプロダクションの俳優さん達に能の指導をしている関係で、今回招待されて観に行きました。
チラシのトップにこんなことが書かれています。
「 芸能事務所各社イチオシの俳優・女優が魅せる、
お買得ショーケース公演!
第一線で活躍するクリエイター陣を演出に迎え、
一本の朗読と3本の演劇を、Wキャストでお送りするオムニバス公演。
あなた好みの"掘り出しモノ役者”が見つかるハズ!おたのしみに!」
この文章を読む限り、役者さん達はまるで商品のようでかわいそうな気もしますが、自分を売り込むための大きなチャンスなのでしょうね。現実は厳しいのでしょう!
舞台は見ていてとても明るく楽しかったです。
午後7時初めで、終わったのが9時半。
休憩なしの2時間半の公演ででしたが、あっという間に終わったという印象です。
恋愛の話、友情の話をテーマに作品は創られていましたが、
知っている役者さん達もたくさん出ていたので、興味も倍増して観れました。
客席もそれぞれの役者さんたちの友達みたいで、20代から30代にかけての若い人ばっかりでした。
中には目を光らせている怖い人もいるのでしょうが・・・
帰りの電車の中で、あんな若い人たちに能に興味を持ってもらうためにはどうすればいいのだろう・・・
そんなことばかり考えていました。
狂言は作品によれば子供でも理解できますし、言葉を理解する障害がありません。
昨日の役者さんたちの芝居と同じような感覚で狂言を観ることも可能だと思います。
しかし能はまず言葉の障害が生じます。
「なに言っているのかわからない!」
「話しの内容が分からない!」
始めてみる人には眠くなった寝てもいいんですよ。自分なりの面白いところを、たとえば装束がきれいだとか、囃子の音楽が楽しいとか、何でもいいから自分なりの面白いところを一つでも見つけてください。作品を理解しようと構えないでください。
そんなことをよく言うのですが、
しかし学生鑑賞会などでは、狂言の時には皆さん生き生きとご覧になっているのですが、能が始まるととたんに睡魔に襲われるようです。
能を理解していただくために、開演の前に能の解説を入れるとか、事前に作品研究会などを行って、当日の鑑賞に役立てる試みが最近多く行われています。
今や能楽師はいい能だけを創れば良い、そんな時代ではないと思うのです。
もちろんいい舞台を作ることが最優先ですが、もっといろんなことを試みてゆくことが必要なのだと痛感している、このごろです。