今日は『初面(はつおもて)』というおめでたい舞台に出会いました。
子供が稽古をはじめ、順調に稽古を積んでいくと、初舞台、初シテ、初面と経験を積んでいきます。
子供によってその時期は異なりますが、およそでいくと、
初舞台は3,4歳ころ、
初シテは7,8歳以降、
初面は15、6才以降、になるでしょうか。
初シテまで経験する子供は多くいますが、初面になるとグーンと数が減ってしまいます。
これは子方の経験者が子方を卒業し、中学生、高校生になって稽古を続ける子供が少ないということです。早い話が途中でやめてしまう子供が多いということになります。
『初面』のころになると、声変わりも終わり、体も精神的にも大人のなっていく時期となり、
これからが本当の稽古になるわけです。
能役者の養成の始まりです。
今日(8日)は、「小早川泰士 十七回忌追善能」が小早川修さんの主催で行われました。
長男の泰輝くん(17歳)が初面で「田村」を勤められました。
面をつけて声を出し、動くということは、いつもより二重にも、三重にも苦しいものですが、
それを克服してしっかりと声を出す、きっちりと舞う、このことが要求されます。
今日の泰輝君の舞台は、若者らしく初々しい舞台でした。
いい能役者になれるよう、どんどん稽古を積んで精進して欲しいです。
私の息子は泰輝君と一才違いの年少なのですが、残念ながら『初面』を迎えることは出来そうにありません。
小学生のころはお互いに子方として活躍し、「唐船」や「仲光」などでは二人で舞台に出たこともあります。
そんなことがあって、今日の泰輝君の舞台は他人事とは思えない、複雑な心持で眺めていました。