昨日、創作能「薔薇の名」を無事に終えました。
お客様も満員でとても盛況でしたが、そのほとんどが
日ごろ能をご覧になる方ではなく、見所はいつもにない
空気が漂っていました。そんなときには自分が能役者
というより、演劇人として舞台に出るという自覚が強く
芽生えます。
男女の禁じられた恋をテーマにしたこの曲、あるときは
中国での人妻との恋物語であり、あるときはフランス
中世のトリスタンとイゾルデの魅惑的で危険な恋の物語
であり、またあるときは日本の古代天岩戸にこもった、
アマテラスの時代へと自由奔放に飛びめぐり、甘美で官
能的な、不思議な世界が創られています。このあたりは
この作者、渡辺守章氏の腕の見せ所でもあると思います
が、しかしひとつ間違えば、その複雑さゆえに迷宮の世
界へ踏み迷う危険性も伴っています・・・・
この日は14歳になる息子を観に来させました。先ほど
その感想を聞くと「不倫の恋ははかない物だと言う事が
よく分かった」となんだか小生意気なことを言っており
ました。14歳の少年がどんな理解をしているのか、知
る由もありません。それ以上突っ込んで聞くのをやめま
したが、的は得ているようにも思われ、なんだかおかし
くなってしまいました。