
会の当日の拍手について、少し書き残しておきたいことがあります。
以前にこのブログで演能後の拍手のことを取り上げました。
能の場合拍手は必要かどうか、どこで拍手をすればよいかなど話題にし、読者の方からもさまざまなご意見をいただきました。
拍手は演者サイドから強制するものではないので、拍手をする・しないも、またどこで拍手をすべきかも最終的にはお客様の判断にお任せするということになりました。
能の案内書では囃し方や地謡などすべての演者が退出する時に拍手するのがよいとしていますが、これも強制するものではないと私は主張しました。
ただ残念なのが、われこそは能のツウだという方がいらして、むやみに拍手を先導してしまい、時にはその場の雰囲気を台無しにしてしまうこともあるということでした。
さて先日の青葉乃会の場合、この拍手の件に関しては、主催者冥利に尽きるというものでした!
「相聞」の場合、能とは余分なものをとりはぶいた演劇だとすると、「相聞」はさらにそれを凝縮してエッセンスだけを取り出したような作品だと思います。それゆえに舞台での集中力や緊張感は初めから終わりまで昂まったままで、わずか15分ばかりの作品も、能一番に値する疲労感が生まれるのではないでしょか。
終わりもシテが笛に送られて静かに幕へ引いてゆきます。
このシテが幕へ引く時、さすがに拍手は起こらなかったですね。
しかも囃子・地謡が切戸へ引く時もなく、舞台が空っぽになって、しばらくして、思い出したように拍手が起こりました。こんな経験は今までにありません。
今日の「相聞」はとてもよかったのだなあと、自分ながら誇らしく思っていました。
「松風」の場合、「相聞」に比べて1時間50分という長丁場です。
ご覧になったお客様、長時間のお付き合い、ありがとうございました。(^^♪
「松風」で拍手がおこったのは、最後の最後、囃子方と地謡が引き上げる時でした。
聞くところによると、シテが幕にかかったところで拍手を先導された方が居られたようですが、ほかの方がそれに乗らなかったようなのです。
シテを勤めた私としては、この上ない喜びです。
またよいお客様にめぐり合えました。
感謝、感謝!