今回の青葉乃会は25回の節目を迎えます。これもひとえに皆様方のご支援ご協力の賜と深く感謝申し上げます。
また節目公演といたしまして、能2番、狂言1番の番組立ていいたしました。
サブタイトルに「室町期の能の大きな変遷を見る」と明記しました。
能「蟻通」は世阿弥(1363~1443)作、「船弁慶」は観世信光(1450~1516)作とされています。
世阿弥時代の能は有名な和歌などを多く取り入れ、知識人階層の貴人を対象に創作されていました。しかし孫の世代信光のころになると作風が変化し、庶民が見ても喜ばれる能、見た目の面白さをねらったものとなってゆきます。一例としましては「安宅」、「紅葉狩」、「土蜘蛛」などがあげられます。今回の「船弁慶」もその一つで、これらの作品は今の時代も人気曲になっています。
なぜこのような変化が生じたか。時の将軍足利義満、義持、義教は権力者として能を庇護していましたが、その後は権力の座が危うくなり、戦国時代へと動乱の時期を迎えます。猿楽の役者はパトロンを失い、生き延びるために後ろ盾を庶民に求めたとされています。
今回はこの二つの作品を見比べて”能の変遷”を感じていただければ幸いに思います。
第25回青葉乃会 能「蟻通」、「船弁慶 重前後之替」 狂言「鱸包丁」
日時:令和6年10月27(日) 午後2時半始め会場:水道橋・宝生能楽堂
番組詳細
能「蟻通(ありどおし)」
シテ 宮守 観世銕之丞ワキ 紀貫之 殿田謙吉ワキツレ 大日方寛ワキツレ 則久英志
笛 松田弘之小鼓 大倉源次郎大鼓 柿原弘和太鼓 三島元太郎
後見 清水寛二 観世淳夫
地謡 柴田稔 伊藤嘉章 馬野正基 北波貴裕 長山桂三 谷本健吾 鵜澤光 川口晃平
狂言「鱸包丁(すずきぼうちょう)」
シテ 山本東次郎アド 山本則孝
能「船弁慶(ふなべんけい) 重前後之替(おもきぜんごのかえ) 名所教(めいしょおしえ)」
シテ 前ー静御前 後ー平知盛の怨霊 柴田稔子方 源義経 青木響平ワキ 武蔵坊弁慶 森常三ワキツレ 義経の従者 館田善博ワキツレ 義経の従者 梅村昌功アイ 船頭 山本凜太郎
笛 藤田貴寛小鼓 鵜澤洋太郎大鼓 大倉慶之助太鼓 小寺眞佐人
後見 鵜澤久 泉雅一郎 青木健一
地謡 梅若紀彰 西村高夫 観世淳夫 伊藤嘉章 北波貴裕 長山桂三 谷本健吾 川口晃平
終演時間 午後5時半ころ
<チケット料金>
S席(正面) 8000円
A席(正面後方) 7000円
B席(脇正面) 6000円
C席(脇正面後方 中正面) 5000円
学生 3000円
【事前講座】 ここが面白い「蟻通」、「船弁慶・重前後之替」
時:令和6年10月21日(月) 午後6時半~8時所:銕仙会能楽研修所 地図
講師 姫野敦子 清泉女子大学准教授 柴田稔
代金 500円 (チケット購入者は無料)
<お申込み・お問合せ>銕仙会 03-3401-2285 (平日10時~17時)インターネット https://www.gettiis.jp/event/detail/100424/V30924
参考