今日から9月、暦の上では秋になりました。
朝夕は少しは涼しくなりましたが、まだまだ残暑厳しいですね。
今日は8月26日に行われた大淀町での公演のレポートです。
夏の終わりの3連チャン(草津・東京・奈良)の3日目でした。
(前回お知らせしたおりには、奈良・川上村と書きましたがこれは私の間違いです。川上村はその日に泊まった隣村でした。)
第6回 大淀町 能楽座公演
京都駅から近鉄特急に乗って約一時間半。途中、橿原(かしはら)で乗り換え、下市口(しもいちぐち)下車。
(実はこの日京都駅で電車に乗り込むとき、先日のバックステージツアーに京都から参加いただいた高瀬さんにばったり会いました。大淀町の公演には常連のお客様のようで、この日も私達と同じく大淀町に向かうところだったのです。
まったくの奇遇、うれしくて電車の中でずっとおしゃべりしていました。(^^♪ )
会場は大淀町文化会館。客席数700で、能の公演には理想的な広さです。
ホールで能を公演する場合、舞台設営はいろいろなバージョンがあり、それこそ屋根つきの能舞台そのものを再現したものから、敷き舞台を引いて簡易的に舞台を再現したものまでいろいろありますが、ここは舞台にパンチカーペットを引いて柱と松をあしらっただけの、とてもシンプルな形です。
言い換えればどんな場所でも能の上演が成り立つということですね。要は中身です!
【番組】
狂言 寝音曲 茂山千之丞 茂山あきら
能 清経 シテー観世榮夫 ツレー西村高夫 ワキー副王茂十郎
地謡ー梅若六郎他
囃子ー杉市和、大倉源次郎、山本孝
豪華な顔ぶれですね。地方でこのような番組はなかなか実現できません。
特にシテー観世榮夫 地謡ー梅若六郎 こんな配役は東京でもめったにないものです。
この日は特に暑く、外で立っているだけでくらくらしそうなほどでした。
しかも榮夫師は3連チャンの3日目。
そんな疲れをまったく感じさせない気迫のある良い舞台でした。
大淀町文化会館の住所は、
奈良県吉野郡大淀町檜垣本2090番地。
なぜこんなことを書いたかというと、この檜垣本(ひがいもと)という場所は、室町時代、この地を中心に猿楽座の一座として活動していた、猿楽発生の地でもあるのです。
【檜垣本猿楽】についてパンフレットにごく簡単に説明がありました。 要約すると、
檜垣本猿楽の一座は吉野、高野山周辺を拠点として活動し、また大和四座の観世座と深い関係を持ち、京都にも進出するほどの勢力を持っていた。しかし江戸時代になり、幕府が能を式楽として統制したことによって、檜垣本猿楽は縁戚の太鼓観世家の一員として生き残った。
檜垣本という地は猿楽の発生の地であり、太鼓観世家祖先の地でもあるわけです。
またPCで検索すると、
明応2年(1493)の銘がある檜垣本猿楽座七郎作の能面二面【中将・小面)が吉野勝手神社に
収められているようです。
そのような歴史を持つこの地域では能の普及のため、数年前より地元の子供達に能の囃子を習わし、また今回の公演に先立ち、何度かレクチャーがあったようです。
地元の人が一丸となって能を支えてくれているのですね、ありがたいことです。