逗子能狂言公演 2月24日
今回は能「小鍛冶」に「黒頭(くろがしら)」という特殊演出を付けて上演します。
チラシの写真より
〈背景〉
時 平安中期 一条天皇の御代 冬
所 都、三条の小鍛冶宗近の鍛冶場
〈登場人物(登場順)〉
・前場
ワキツレ 橘道成(たちばなのみちなり) 一条院に仕える臣下
前ワキ 小鍛冶宗近(むねちか) 功名な刀鍛冶
前シテ 童子 稲荷明神の神霊
アイ 宗近の下人 または稲荷明神の末社の神
・後場
後ワキ 小鍛冶宗近 鍛冶職人の姿に変装
後シテ 稲荷明神
〈概要〉
稲荷明神の力を得て、小鍛冶宗近が名刀を打ち上げるまでを描いた物語
四海安穏(世の中の平和)、五穀成就(稲の豊作)を祝福した祝言能
前場 稲荷明神の神霊が国を治める剣の威徳を述べる
後場 刀剣製造の場を再現した作り物が出され、宗近とその弟子になった稲荷明神との 合作で「小狐丸」の名刀が誕生するさまを見せる
〈作者のねらい〉
・見た目の面白さを工夫し、舞台を飽きさせない構成
・剣の徳を述べ、めでたい祝言性を主張
〈「黒頭」という特殊演出〉
「小鍛冶」には後シテで頭にかぶる頭(かしら)と呼ばれるもので、通常は赤、特殊演出では黒・白の三通りのやり方があります。
赤は若者のエネルギッシュなさまを見せ、黒は兄貴分的な力強さと機敏さを見せ、白は経験豊富な功を積んだ老人の静かな力を見せるという違いがあります。
黒の場合、前シテでは通常手には扇を持っていますが、扇の代わりに稲穂を持ちます。稲荷明神の神霊を強調して稲穂を持つという演出です。
全体的には謡に緩急が付き、ダイナミックな動きと構成になっています。
「小鍛冶」は1時間ほどの作品で、それこそ見た目の面白さを狙い、作り物で展開される鍛冶場の再現が見どころです。