平成30年1月13日(土) 銕仙会定期能〈1月〉
「翁」は古くは「式三番(しきさんば)」といわれ、その詞章を「神歌(かみうた)」と言っています。
つまり、謡本には「神歌」と書かれてあり、その「神歌」が舞台で演ぜられば「翁」ということになります。
銕仙会定期公演 平成30年1月13日チラシより
前回のブログでも書きましたが、「翁」の特徴は次の二つになります。
・大夫の役者が舞台で面を付け神に変身する
・天下泰平、国土安穏、五穀豊穣を祈る祈祷の儀式
この「翁」を分かりやすく説明されたものを紹介してみます。
『年に一度訪れ、天下泰平や五穀豊穣を約束して去ってゆくさすらいの神、それが翁です。「翁」は、人間がこの神に扮して人々を祝福するという祭事をそのまま舞台で行ってみせるもので、もともと「式三番」と呼ばれ、白い翁と黒い翁(三番叟・さんばそう)と父尉(ちちのじょう)三老人が順に祝祷の舞を舞うという形式でした』 〈石井倫子著「能って、何?」新書館〉
現在では父尉が省略され、千歳(せんざい)、翁(白い翁)、三番叟(黒い翁)の構成で舞が舞われます。
「式三番」は平安時代末期に生まれ、鎌倉時代にはこの三老人に露払い、延命冠者の二役が加えられましたが、室町時代の世阿弥によって現在の形式になったとされています。
世阿弥の時代にも「翁」は神聖視されていたようですが、さらに江戸時代、能が幕府の式楽になったことによって儀式的かつ厳粛さが増したように思われます。
故・片山幽雪先生の本が最近出版され、その中に翁のことに触れられていますので紹介しておきます。
・別火について
『僕ら能役者は「翁」を非常に大事にしています。演能前は精進潔斎しますし、別火と言って(「翁」を舞う前の一定期間)食事やお風呂を沸かす火など男子で致します。
お風呂の水張るのも、うちの書生(内弟子)がして、これは今も守っています。
本当は三七、二十一日、別火をするというのが昔のやり方ですが、もうそれは出来ませんので、前日からその日まで、というのが今のやり方です。
片山家では、翁を勤める日は自宅に、にらみ鯛が据えられ、翁を勤めて帰宅すると調理されており、翁を勤めた大夫が最初に箸をつけて、あとから皆がいただきます。』
・「翁」の稽古について
『「翁」を稽古してください、て言われてもね、「翁」の稽古なんて出来へんのです。普段、ずっとやってきたものが「翁」の中に入ってくるわけでしょう。「翁」をやるほどの人なら、今さら。』
〈片山幽雪聞書「無辺光」岩波書店〉
・私の初めての別火
私が初めて千歳のお役を頂いたのは銕仙会に住み込んでいた書生時代。その時の翁役は浅見真州さんでした。
公演の前の晩、浅見さんは銕仙会に来られまして楽屋に二つ布団を並べて一緒に寝ました。
またその日は、たまたま片山清司(現・九郎右衛門)さんが銕仙会の公演のために泊まりに来られていまして、
朝ごはんは清司さんがお雑煮を作ってくださいました。
これが私の初めての別火です。
翁の大夫役は来年の銕仙会公演が初役となりますので、この別火をどうしようかと思考中です。
・私の「翁」の稽古について
幽雪先生のように『「翁」の稽古なんて出来へんのです』と言われても困ります。(笑)
「翁」は”能にして能にあらず”と言われているとおり、普通の能とはやることがずいぶんと違います。
それを伝授していただかないと「翁」は成り立ちません!
おかげさまで現銕之丞先生からは稽古をつけていただきました。
次回は初めて「翁」をご覧になる方のために、見どころと舞台進行を解説させていただ来ます。
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