今日から(また日付は変ってしまいましたが)年に一度の虫干しです。

「虫干し」という言葉も今では死語になりかけているようですが、能の世界では毎年夏に装束・面の「虫干し」を行っています。
銕仙会では写真のように舞台の柱に麻ひもを張り巡らし、装束をつるして風を当てます。
「虫干し」とは本来ならば日陰干しで外の空気を当て、それこそ虫除け、カビ除けが目的なのですが、銕仙会の場合には鉄筋コンクリートの建物の密閉された空間の中で行いますので、外気を取り込む代わりに、一日中冷房をガンガン効かせてその中で行っています。

本来的な意味での「虫干し」ではないのですが、この冷房の力というのは決して侮れなく、乾燥力はとても強いです。舞台を拭いた雑巾があっという間に乾いてしまいます。
今年の虫干しは例年よりも一週間早く、梅雨が明けないうちからの作業になりましたが、こんな時には外気を取り込まないこの鉄筋コンクリートの建物が威力を発揮してくれます。
よそのお家では8月になってから行うところが多いようですが。

この虫干しは一週間ほどおこなっています。
今日は唐織・厚板・鬘帯を出しました。
ウラの楽屋では女性の方たちによって、装束の修繕が行われています。
装束は消耗品ですから、よく働いてくれた装束はこまめにケアーをしなければなりません。
面は保存状態がよければ室町時代のものまで使用可能ですが、装束は糸が朽ちてきますので、せいぜい江戸期のものまでですね。それも「これぞ」という舞台のときにしか使用しません。
10年に一度、20年に一度くらいの割合ですかね。

装束にはそれぞれの文様によって名前が付けられ、紙畳(かみだとう)に収めてお蔵の中にしまってあります。
写真をクリックして拡大してみてください。
この紙畳にもなんだか味わいがあります。