八世銕之丞先生の命日が7月3日、今年が7回忌で、追善能が催されます。
今週はそれにちなんで、先代銕之丞先生の名言を紹介していくことにします。
「おもて」と「うら」のこと
私達は舞台で使う能面のことを、「おもて」といっています。
先代は「おもて」に対し、「うら」があり、その「うら」が大切なんだということをよく言っておられました。
『舞ったり演じたりしている役者の内面が、面をかけることによって見えてくるのです。素顔だったら出てこない部分までもが見えてくる、そういう仕掛けが面にはあると思うのです。つまり、オモテに対するウラの存在ですね。面の裏に隠れているからこそ、自分の訴えたいことを思うがままに舞台の上で演じることができるのです。さらに言えば、役者の思いというものを託することができ、かつ戦うことができる相手、それが面ということになるのです。』 (ようこそ能の世界へ)より抜粋。
「おもて」は面のこと。「うら」は演じている私という人間のこと。
個人のもつ美学や人間性がそのまま面の表情に反映されるということを、「おもて」と「うら」の関係で説明されています。
名言<1>
「うら」が「おもて」にぶつかることのよって、面の表情がでてくる。だから「うら」を磨かないとだめなんだ。