来る7月1日(土)、渋谷・観世能楽堂におきまして「銕仙会特別公演 八世観世銕之亟静雪七回忌追善能」が催されます。
連吟 百万車之段 銕仙会会員
仕舞 殺生石 観世 淳夫
実盛キリ 大槻 文蔵
雲林院クセ 観世 喜之
野宮 梅若万三郎
通小町 片山九郎右衛門
舞囃子 松虫 観世 清和
笛 一噌 隆之
小鼓 鵜澤 速雄
大鼓 國川 純
一調 西行桜 観世 榮夫 太鼓 小寺 佐七
狂言 宗論 野村 萬 野村 万蔵
能 鸚鵡小町・杖三段之舞
シテ 小野小町 観世銕之丞
ワキ 新大納言行家 宝生 閑
笛 一噌 仙幸
小鼓 大倉源次郎
大鼓 亀井 忠雄
小早川 修 北浪 昭雄
地謡 柴田 稔 浅見 真州
岡田 麗史 山本 順之
西村 高夫 浅井 文義
後見 片山九郎右衛門 永島 忠侈 片山 清司
入場料
S席 12,000円
A席 10,000円
B席 8,000円
C席 7,000円
われわれ能の世界では、一門の座長の法要のため、年忌ごと(3、7、13、17、23、27、33回忌)に追善能を行う慣わしがあります。一門総出で数日間にわたって行う大規模のものから、当代の座長が代表して行うものまで、形式は様々ですが。この追善能の舞台を機に、それぞれの立場で大曲に望むことも慣例となっています。
今年は先代八世銕之亟先生の7回忌にあたり、当代9世銕之丞先生が大曲の老女物・「鸚鵡小町」を勤められます。
観世銕之丞家は観世流の分家にあたります。
分家初代は観世清尚(きよなお)、十四代観世大夫清親(きよちか)の次男で、宝暦二年(1752)に分家の樹立を認められました。この観世清尚は本家嫡男の喪失により十七代観世大夫にもなっていますが。兄の元章(もとあきら)・[十五代観世大夫]は観世流の演出を大きく変えた人として有名です。
(ちなみに初代観世大夫は観阿弥、二代が世阿弥。今の清和師は二十六代観世大夫になります。)
分家は、この分家の樹立のおり、宗家より習い物の大曲、「鸚鵡小町」と「望月(もちづき)」の二曲を授けられたとされています。このことはこの二曲を演能できるのは分家の棟梁だけであるということを意味し、その版権を与えられたことになります。(今はその権利を返上されていますが)
前書きが長くなりましたが、ということで銕之丞家ではこの「鸚鵡小町」と「望月(もちづき)」をとても大切に扱い、棟梁が「鸚鵡小町」を披くことは大きな意味合いを持つことになります。
先代が「鸚鵡小町」を披かれた時は、今の銕之丞師が同時に「望月」を披くという番組でした。
「鸚鵡小町」の曲目解説、チラシに書かれてあるのを抜粋します。(手抜きでスミマセン)
百歳の老女となって関寺あたりに住む小野小町。時の帝は小町に「雲の上は在りし昔に変わらねど見し玉簾の内やゆかしき」と憐れみの歌を下された。小町はこの返歌をただ一文字でと、「内やゆかしき」の「や」を「ぞ」に変える。これによって「昔の華やかな宮廷が恋しいのではないか」という憐れみの意味から「昔の華やかな宮廷こそが恋しくてなりません」という、嘆きと懐旧の念の返歌に目覚ましく変化させた。これは鸚鵡返しという古来の和歌の技法だと小町の才気と驕慢は衰えることがない。
小町は勅使の求めに応じ、舞を舞う。舞ううちにも昔が甦り、老残の今を嘆く。
チケットはわずかですがまだ残っているようです。
銕之丞家記念的行事ですので、ぜひご覧になってください。
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