前半戦終了といってもプロ野球のことではありません。(笑)
銕仙会の夏の行事、歌仙会(正式には歌仙囃子会)とそのあと一週間かけて行った虫干しが昨日終わり、今日から9月の秋のシーズンまで夏休みモードに突入です。
かといって、まったく休みになるわけではありません。(涙)
その間も舞台やお素人の稽古はありますが、いつもよりは少なく、この夏を一年間の舞台活動の区切りとして、休養をとり、能の栄養を補給して秋のシーズンにそなえます。(あくまでも理想論ですが・・・)
今年の歌仙会はシテ方、囃子方(笛、小鼓、大鼓、太鼓)合わせて60名の参加でおこなわれました。
私は「龍田(たつた)」の移神楽(うつりかぐら)という小書きのものを舞いました。
三輪、巻絹、龍田など女体の神様のものは『神楽』という舞を舞いますが、この『神楽』の舞は前半が神楽、後半が神舞という構成になっています。
「移神楽(うつりかぐら)」という小書きがつきますと、神楽から神舞に移らずに最後まで神楽で舞い通します。これに対し前半の神楽だけで舞い納めるものを「神楽留」といっています。
『神楽』を神楽だけで舞い通すのを、龍田では移神楽といい、巻絹では諸(もろ)神楽といい、
どちらも舞台ではあまり出ないですね。
移神楽の小書きは江戸中期より途絶えていたのを、昭和51年に観世寿夫先生が東京観世会で復活されたもので、まだまだ新し演出のようです。
女体の明神が現われるものとして「三輪」、「葛城」がありますが、これらの神は仏教に「苦しみを助けたまえ」と加護を求めます。
しかし、この龍田明神は逆で、なんと仏教者を戒めるのです。
『神は非礼をうけ給はず、水上清しや龍田の川』 と悠然と謳いあげ、
お坊さんが龍田川を渡ろうとすると、『紅葉流れる龍田の川が乱れるではありませんか、そんな心ないことをしてはいけません』と言うのです。
日本の神は強かりしです!
能ではこのことを強調するため、一畳台を出して、その上に龍田神社の作り物をおきます。
そして一段高いところから龍田明神が現われます。
能の面白い工夫です。
9月の青山能ではこの「龍田」が上演され、私はその地頭をすることになっています。
「龍田」については9月の上演の時にアップしたいと思います。
歌仙会の翌日から一週間かけて「虫干し」を行いました。
お蔵のなかに収納してある装束・面をすべて舞台に出して風を通します。
最終日は面の日です。
面の箱を一つずつ両手で抱えて舞台に運ぶのですが、銕仙会の建物は一階にお蔵があって、二階が舞台です。ゆえに階段を何往復もしなければなりません。
かなりの重労働なのです、ハイ!
面が並べられている景色は壮観で、自分で使いたい面を見比べたりと、楽しみもあります。
虫干しの打ち上げは毎年浅草の「米久」で、すき焼き鍋をごちそうになります。
年々、肉の食べる量が減っている自分が少しなさけないです。(^.^)
銕之丞夫人は普段お肉を召し上がらないそうで、一年分のお肉をいただいた、なんて仰っていました。
しばらくは少し心をゆるめて、夏モードにチェンジします!\(^o^)/