能楽キャラバンとは、文化庁が文化芸術活動を助成・支援する事業(アートキャラバン)の一環として、
全国20地域、35会場、71公演という大規模で開催されています。
アートキャラバンの事業目的は次のように書かれています。
「新型コロナウイルスの感染拡大による萎縮効果を乗り越え、文化芸術に対する需要喚起や業界全体の活性化を図る」
日本全国能楽キャラバン! 銕仙会特別公演
日時:2022年1月16日(日) 午後2時開演
会場:宝生能楽堂(水道橋)
番組
解説 竹本幹雄
新作能 鷹姫(たかひめ) 観世銕之丞
狂言 鍋八撥(なべやつばち) 野村万蔵
半能 石橋(しゃっきょう)・大獅子 柴田稔
※詳しい配役は
銕仙会HP または添付のチラシ裏をご覧ください
≪新作能「鷹姫」について≫
「鷹姫」の初演は1967年ですから半世紀もの歴史があり、新作というより古典の部類に入るかもしれません。
能本は横道萬里雄(1916~2012)、節付は観世寿夫(ひさお)師(1925~1978))
原作者はアイルランドの詩人”イエーツ”、原作の題名は「鷹の井戸」
孤島に沸く不老不死の泉を求めて50年も住み続ける老人のもとへ、一国の王子がこの老人と同じ野心を抱いてやってきます。
泉を守るのは鷹姫。
老いと欲望をテーマに描かれた作品です。
能のシテ、ワキ、狂言という役割分担された役者の範疇をこえて、それこそ演劇として構成されている作品といえます。
今回の配役は
老人ー観世銕之丞 若者ー野村万之丞 鷹姫―観世淳夫
岩(コロス)ー清水寛二、西村高夫、小早川修、鵜澤久、北波貴裕、長山桂三、安藤貴康、鵜澤光
笛ー松田弘之 小鼓―大倉源次郎 大鼓―亀井広忠 太鼓ー金春惣右衛門
銕仙会が行う「鷹姫」は、2012年11月に東洋大学井上円了ホールで上演されて以来ですから10年ぶりの公演となります。
余談ですが、
イエ―ツの「鷹の井戸」を翻訳し、始めて日本に紹介したのは松村みねこ(本名片山広子)女史。
この松村みねこさんは芥川龍之介の最後の恋人であり、芥川はこの時の恋の想いを「相聞」という詩に綴っています。
この相聞の詩をもとに構成されたのが、観世栄夫作曲の能舞『相聞』です。
≪半能「石橋」について≫
半能とは能の後場を主に演じる形式を言います。
能「石橋」は、前場が虚空にそびえ立つ石橋の様子を描き、後場は橋の対岸の聖地におわします文殊菩薩の使者、獅子が現れ、この石橋の上で舞を舞い、世を寿ぐという物語になっています。
半能では石橋の様子は描かず、前場でワキの寂昭(じゃくじょう)法師が現れ、自分は仏教修行のため中国を訪れている。今日は石橋のかかる清涼山に着いた。この石橋の向こうは文殊菩薩の浄土があので、今からこの石橋を渡ろうと思う、と自己紹介をします。前場はこれだけで、このあとすぐに後場へをと続きます
●能「石橋」の獅子舞について
文殊菩薩を乗せている獅子の舞が、能「石橋」の獅子舞になるわけですが、
この「石橋」の獅子舞は、舞の型、囃子の演奏とも、能の舞の類型にあてはまらない重い習事になっていています。
獅子舞は体力の限界に挑戦する動きが要求されますし、囃子方との気迫のぶつかり合いで舞台を創っていきます。
●小書き(特殊演出)大獅子(おおじし)について
「石橋」の後場は観世流では3通りのやり方があります・
・小書きなし 赤獅子一人
・大獅子 白獅子一人、赤獅子一人 または白獅子一人、赤獅子三人
・資師(もろすけ)十二段 大獅子に同じ
今回の公演では大獅子の小書きがついていまして、白獅子一人、赤獅子三人の四人獅子で行います。
チケット情報
S席(正面前方) 10,000円
A席(正面後方) 8,000円
B席(ワキ正面) 6,000円
C席(中正面、ワキ正面後方) 5,000円
学生席 4,000円
お申込み・お問合せ 銕仙会
電話 03-3401-2285 平日10時~17時
主催 公益財団法人 能楽協会
公益社団法人 銕仙会