8日の火曜日、あさ新作能「原爆忌」の稽古があって、昼からは思い立って府中まで
「カミーユ・クローデル展」を見に行きました。
「原爆忌」は広島の被爆を、まさにその模様を能劇化されたもので、作者は医学博士の多田富雄氏です。
昨年は被爆60周年にあたり、反核運動の一環として、東京、京都、広島においてこの新作能が上演されました。
忘れてはならない史実として、今年も上演されることになったようです。
東京公演ー8月25日(金)
両国・シアターX(カイ)大阪公演ー8月29日(火) 大槻能楽堂
両日とも問い合わせー能楽座 03-3478-8677
カミーユ・クローデルに関しては、
以前のこのブログの記事をぜひご覧ください。
彼女の肩書きは、ポール・クローデルの姉、天才女流彫刻家、彫刻家の巨匠オーギュスト・ロダンの弟子、そして愛人、精神病院での孤独死・・・
激しく燃えた青春時代の代償が、あまりにも不幸な死を招いたようです。
今回の展覧会はカミーユ・クローデルの作品が年代ごとに展示されていました。どうしても彼女の私生活を通して作品を見てしまうのですが、愛を失った狂気的な作品、能でたとえると、女物狂いの範疇になるのでしょうが、狂気の彼女達は自分の感情に限りなく素直になっているのです。そんな一途な思いの物狂いを能では「面白や」と、高位に捉えています。
このチラシに乗っている寄り添う男女の彫刻は、まさにロダンとカミーユ・クローデルなのですが、この作品を会場で見た第一印象は 「気の抜けたサイダー」、そんな感じでした。
愛に力がなく、願望だけがそこにある。過去の栄華にすがり生きながらえるカミーユ・クローデルの姿が見えて、とてもやるせない思いに駈られました。
ロダンと決別した10年後、精神病院に入れられる直前の作品です。まだこんなエネルギーが残っていたのは驚きですが。
同じテーマで、同じ姿の作品が展示されていましたが、こちらは生命力あふれ、人生に対して祝福があります。ロダンとの関係で信じあえた一番幸せな時代の作品です。
こんな見方って、とても偏見的なのかもしれませんが、そう感じずにはいられなかったです。
そんな彼女の彫刻展が、今日本の地方美術館を巡回しています。
今年の春、上野・西洋美術館で
「ロダンとカリエール展」が行われていました。
こちらの展覧会は全国主要都市での巡回です。
その陰に隠れ、こっそりとカミーユ・クローデル展は追従しているようです。
まったくの偶然か、意図的なものなのかは分かりませんが・・・
カミーユ・クローデル展ぜひとものお勧めです!!!