1月30日 静岡音楽館AOIの20周年記念公演
「白い風ニルチッイ・リガイが通る道」 間宮芳生(まみやみちお)作
この作品は1992年に国立小劇場で初演されたものですが、今回が実に24年ぶりの再演となります。
24年前と言えば、私はまだまだ駆け出しの能楽師だったころですが、たまたま出演させていただいており、今回で2度目の参加となりました。
・「白い風ニルチッイ・リガイが通る道」について
副題 ~最初の男と女はトウモロコシの実から生まれた~
能楽師5人とパーカッション(打楽器)3人で構成されている前衛劇ともいえる作品で、
パーカッションの音楽に合わせ、能楽師5人のいわゆる謡(謡風)だけで物語が朗読劇のように進行してゆきます。
この作品は、アメリカ・インディアンの一部族、北米のナバホ族で伝承されていた長大な創世神話を、公演用に1時間ほどにまとめ上げられたものです。
神話の内容は、
<物語の全体は縦に五層に重なった世界の一番下にまず生まれた生き物は、「空気の精の人々」つまり、空をすみかに空を旅する昆虫人やつばめ人たちだった。
昆虫人、つばめ人の間で姦通があり、縦五層の第一世界は水攻めに合い、第二世界へと逃れ、これを繰り返し、第五のこの地上世界に達し、トウモロコシの実から男と女の二人の人間が生まれた。>(当日のパンフレットよりのまとめ)
『ニルチッイ・リガイ』とは白い風の神のことで、この風の神が五層の世界の通り道、つまり風の道を作り人間を創ったということです。
能楽師5人は、能の謡を基に、時には現代音楽風に、時にはインディアン風な踊りの世界の音楽をまねて声を出してゆきます。
その合間にパーカッションが、風の音、ドラムの音等の音楽を奏でるという構成になっています。
舞台背後の絵は、ナバホ族が描いた砂絵をスクリーン仕立てにしたもの。
真ん中にトウモロコシが描かれ、そのわきに昆虫人とも人間とも考えられる二人が笛を吹きながら踊っているように見えます。
・間宮芳生(まみやみちお)氏について
1927年生まれ、東京芸術大学卒
外山雄三、林光とともに『山羊の会』を結成された音楽家
野坂昭如原作、アニメーション「火垂るの墓」の音楽を担当されている
詳しくはこちらまで
・「白い風ニルチッイ・リガイが通る道」について
~最初の男と女はトウモロコシの実から生まれた~ (国立劇場委嘱作品)
<配役>
作 テキスト:音楽 間宮芳生
シテ 清水寛二
ワキ 鵜澤 久
地謡 西村高夫 柴田稔 谷本健吾
パーカッション 松倉利之 和田光世 石崎陽子
※1992年度の公演では、シテー山本順之でした