銕仙会・青山能公演能「龍田」12月22日(土) 午後1時30分始め
於:表参道 銕仙会能楽研修所
青山能の公演まであと3週間となりました。
これから集中的に、能「龍田」の紹介をしてい行きたいと思います。
紅葉の龍田川 (H24.11.25 稔撮影)
能「龍田」曲名の龍田は竜田とも書かれます。
・時 むかしむかし、室町時代の冬の寒い日
・季節 霜降月(今の12月~1月)
・所 大和の国(奈良) 舞台は、南都→龍田川→龍田神社へと移動している
・テーマ 龍田の紅葉の美しさを愛で、いかにも耽美主義を主張する
・登場人物ワキ 諸国を巡るお坊さん
前シテ 美しい女性 (じつは龍田神社に仕えるお巫女(みこ)さん、そしてじつは龍田神社の神様)
後シテ 龍田明神(龍田姫)
・あらすじ前場奈良から大阪(河内)に旅するお坊さんが、途中龍田神社を詣でます。
(なぜお坊さんが神社にお参りするのか、神仏習合の考えもありますが、ここでは話がややこしくなるので触れないことにします)
龍田神社へは龍田川を渡らなくてはなりません。
お坊さんが龍田川を渡ろうとすると、遠くから女性の声がして、
『その川を渡ってはいけません』 と言うのです。
なぜなら、龍田神社は紅葉を神木としているので、紅葉が錦のように美しく敷き詰まった川を渡ることは、紅葉を乱すことになり、神の神慮に背くことになるからだと説明します。
お坊さんは、なるほどそれは分かるが、いまは紅葉の時期も過ぎ川には氷が張っている。いま渡っても紅葉を乱すことにはならないのではないか、と反論するのです。
これに対して、女は、
川をよくご覧なさい。氷の下には晩秋の紅葉が錦の景色そのままで残っているでしょう。ですから冬になった今渡っても神を穢すことになるのです。と逆にいい返します。
ここで女は自分は龍田神社の巫女だと身分を明かし、お坊さんを別ルートで龍田神社まで案内することになるのです。
龍田神社をいろいろ案内しているうち、この巫女は、じつは私は竜田姫だといって体から光を放し、神社のなかに隠れてしまいます。
後場後半は、その夜龍田神社から輝くばかりの光を放って龍田明神が姿を表し、龍田の美しい紅葉の景観を讃え、神楽を舞い、今の御代の泰平を祝福し、吹き乱れる風と共に昇天するのでした。