6月15日 「いずれがあやめか、かきつばた」
逗子の稽古へ行く前、北鎌倉に途中下車して明月院を訪れました。
明月院はあじさい寺として有名ですが、花菖蒲が期間限定で拝観できるのです。
明月院の一番奥にある「後庭園」に花菖蒲が咲いていて、ちょうど見ごろな時だけ解放しています。
明月院もこの日は平日にもかかわらず、人であふれていましたが、この後庭園に入るには別料金を取られるため、わりとすいていました。(笑)
これだけ群生していると、美しさに圧倒されます。
この花菖蒲たちは、盛りを少し越したあたりだったでしょうか
白、紫まじりの白、紫のあやめがそれぞれ群れをなして咲き誇る姿は目を十分に楽しませてくれます。
能に「杜若(かきつばた)」という作品があり、そのなかに次のような詞章があります。
『色はいずれ、似たりや似たり 杜若・花菖蒲(かきつばた・はなあやめ)』
現代では、「いずれがあやめか、かきつばた」と言っていますが、この語源は平安・室町時代にまで遡るようです。
現代版では、美人が2人いて、「いずれがあやめか、かきつばた」となるわけですね。
この言葉にはただ単に、二つのものが似ていて区別がつかないと言うだけではなく、”美しい”ということが前提条件になるわけです。
能の詞章は「杜若」の花の美しさをさらに強調するために、
『似たりや似たり 杜若・花菖蒲(かきつばた・はなあやめ)』
としたのでしょう。
ところで、
かきつばた、あやめ、はなあやめ(はなしょうぶ)、しょうぶ、の違いをご存じでしょうか。
これらを漢字で書くと、
杜若、菖蒲、花菖蒲、菖蒲
となり、
あやめ(菖蒲)としょうぶ(菖蒲)が同じになってしまいます。
日本語の難しいところです!
この4つの違い、見分け方は
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