今日の昼間、時間がぽっかりと空いたので
「ロダンとカリエール展」を見に行きました。
場所は上野の国立西洋美術館。
目当ては、画家のカリエール。
カリエールの作品を始めて見たのは、今から十数年前のこと。
ドイツに公演に行ったときに訪れた美術館で見た、一枚の作品でした。
その美術館の名前も、ほかにどんな作品があったのか、もはや忘れてしまいましたが、カリエールの作品は、いまだに脳裏に焼きついています。
その絵には母が子を、愛情深く抱き寄せている姿が描かれていました。
まるで聖母子の姿を、庶民の母と子の世界で表したかのような・・・・・
絵画全体が茶褐色の色彩でおおわれ、輪郭をぼかした作風です。
その技法によって、ほんのり浮かび上がった母子像からは、その背後にある精神世界が強く訴えかけられていた、そんな感じがしました。
母が子を思う、慈愛の世界、「素朴で純粋なやさしさ」に触れたという、言いようのない感動を覚えたのです。
それ以後は、パリのオルセー美術館、ロダン美術館で再びカリエールの作品に出会いましたが、
一目見て、カリエールの作品と分かるのです。それほどこの作家の作風は印象的です。
日本でカリエールの作品を見れるとは、私にとってはもう願ったりかなったりです。
さて今回の作品展、数多くの作品が展示されていましたが、中でも「母性」、「母の接吻」(上の写真に写っている絵です)、「愛情」、この3点が追い求めていたイメージとあってよかったです。
一方、ロダンの作品は日ごろ目にすることが多いのですが、躍動的な肉体の彫刻からは、人間の精神そのものが浮かび上がっているようで、今回改めて感動しました。
先日、このロダンと激しい恋に陥った
カミーユ・クローデルをテーマにした、
映画「カミーユ・クローデル」を見る機会があったので、ロダンの作品の背後にカミーユがうずめいている、そんな目で作品を眺めると、とても面白かったです。
実はこのロダンとカリエールは親友だったようで、同じ志を持った芸術家で、いろんな題材を共通のモチーフにして、彫刻と絵画にそれぞれ作品を作っていました。
『二人は彫刻と絵画という技法の違いを超え、人物やものの表面に見える形ではなく、その奥に潜む「内なる生」を表現するものこそ、理想の芸術家であるという考えを持つ・・・・』(パンフレットより)
と、この二人を象徴主義のさきがけとして位置づけていますが、
これなんか能の世界そのもののような気がしますが、いかがでしょうか・・・・・・・?